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zoom RSS 〜東総干潟八万石、大原幽学ゆかりの地を訪ねて〜

<<   作成日時 : 2016/06/03 07:26   >>

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画像 5月の中頃薫風に誘われて旭市の大原幽学ゆかりの地をバイクで訪れた。実は、見栄を張って携帯をスマホにしていたが、実際歳をとり指の水分が減ると操作しづらく再びブルートウース付きのガラ系に変えたため、スマホをシムなしでワイファイだけで使い、バイクや自転車のナビや速度計に使うことにした。そのナビのテストを兼ねて大原幽学記念館まで走ってみた。ナビはワイファイでマップをダウンロードすれば日本中どこでもシムなしでもGPSをポジション・レファレンスとして音声ナビが可能で非常に便利であった。シムなしスマホアプリのナビは無事大原幽学記念館まで道案内してくれた。
  ところで、大原幽学は江戸時代末期の農政学者で世界で最初に農業組合の原型である「先祖株組合」を作ったことで知られている。しかし、その生涯は過酷な最後で終わっている。旭市は干潟八万石と呼ばれた東総の大穀倉地帯であった。もともと椿海と呼ばれていた湖を寛政時代に干拓した地域であった。時代は江戸時代、この干潟八万石にあった長部(ながべ)村も天保の大飢饉で疲弊していた。九十九里沿岸は砂地が多く乾燥によわく、飢饉になると村人が逃散し村が荒れ果てた。長部村もその例に漏れなかった。ここに大原幽学は村人に招かれて村の立て直しに取り組んだ。大原幽学はもともと尾張出身の武士であったが、訳あって逐電し以後諸学問を学びながら日本各地を漂泊して学績を身に付け長部村の改革を嘱望されるに至った。幽学は、先祖株組合を組織し、農業資材や生活用品の一括大量購入により低価格でまとめ買いをしたり、農地の整理事業、村民の効率的移住、村の開発、農業技術指導ととともに幽学独自の「性学」を説き、その門人は房総各地からも多数が学びに集まった。そして門人たちのために改心楼という道場も完成した。性学とはセックスの学問ではなく、道徳と経済を融合した一種の道徳哲学であった。そのため、村民には意識の高い精神生活を求め、博打や享楽に耽ることを戒めた。
  幽学が傾注した農村改革は著しい成果を上げ、領主からその功績を認められたが、好事魔多しとはこのことである。幽学に思わぬ陥穽が人生の行く手に待ち受けていたのである。これはあくまでも私の個人的な直感であるが、大原幽学は奇しくも幕末の博徒飯岡助五郎とほとんど同世代であった。飯岡助五郎は、博徒、網元、関八州取締出役の案内人という岡っ引きの二足の草鞋ならぬ三足のわらじを履く男で、当然東総の実情には詳しく飯岡近くで大原幽学が世直しをして近隣に影響力を及ぼしていることは知悉していたであろう。幽学が周辺の村民に博打を禁じたため、縄張りである干潟八万石の賭場に悪影響を及ぼすと邪推したことは想像に難くない。
  助五郎は幕府の関八州取締出役に人心を誑かし扇動する怪しい人物がいると讒言し、一方で自らも裏に回り手下に幽学の性学嚮導所である改心楼を襲撃させ問題を表面化させたのかもしれない。幕府は幽学を江戸に召喚し何年も吟味した挙句、半年の入牢(じゅろう)を言い渡した。5年間の取り調べ、裁判、刑期を終え村に帰ると、長部村は元の木阿弥の荒れ果てた姿に戻っていた。幽学は愕然とし、死を以て村民、門人に自覚と覚醒を促したかったのであろうか、村の墓地で白装束をまとい覚悟の自刃を遂げて62年の生涯を終えた。幽学記念館に、自刃に使用した脇差が展示してあったが、その短刀には「難舎者義也(捨てがたきは義なり)」と刻まれていた。生前、命は捨てることが出来ても、義を捨てることはできない、という信念を脇差に銘じて知行合一を完結した凄まじい人生であった。
  歴史「もし」はないが、大原遊学と飯岡助五郎が同世代に生まれていなければ、二宮尊徳のように幽学ももっと農政改革者としてに歴史にさらなる功績を残すことができたであろう。また東総という風土故に村は荒れやすく、離農離散農民が博徒になり、景気のいい時期は博打勧進の絶好の縄張りになり笹川の茂蔵や飯岡の助五郎のような人物を輩出し、将又大原幽学を必要としたのであろう。あと知恵になるが、幽学の悲劇は領主が安中という遠隔地で幽学のような人材への理解と保護を与えられなかったことではないだろうか。天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かずと言う孟子の言葉が思い出される。大原幽学が耕地整理した水田が現在もなお水を蓄え、蒼い稲穂が夕暮れの薄日を貪っていた。 

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