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zoom RSS 〜大英帝国の終焉、英国EU離脱に思う〜

<<   作成日時 : 2016/07/13 08:29   >>

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画像    先月(6月23日)、イギリスはEU離脱の是非を問う国民投票を実施し、僅差(51.9%:48.9%)ながらEU離脱派が勝利を収めた。
この国民投票は3年前にキャメロン首相が公約したことらしいが、幾ら民主主義だからと言って、国家の運命に関わる重要な事案を国民投票に懸けることは慎重を期すべきであろう。衆愚に高度で難解な判断を委ねることは余りに非理性的、感情的な判断によって国家の命運が左右されるからである。ただし憲法改正の場合は国家権力から基本的人権を守り、権力の横暴・暴走を規制するための法典であり、熟議の上で主権者である国民に賛否を問わなければならないことは言うまでもない、又難解で高度でもなんでもない事案でもある。
経済、外交、政治、安全保障、地政学、国民生活への影響など専門家が総合的に精査して客観的に得られる結論と一致すれば問題ないが、そうでない場合は取り返しがつかないことになる。好みや人気で決める国旗のデザインや失敗すればまた替えられる任期のあるリーダーの選挙とはわけが違うのである。民主主義における代議員制は自己の私欲を離れ、公正に議論し衆愚による俗論を排することであって、みんなが参加するわけにいかないからではないだろう。イギリスのチャーチル首相は「これまでに試された他の政治形態を除いて、民主主義とは最悪の政治形態らしい」と演説の中で名言を残しているが、民主主義は私利丸出しの衆愚が政治判断に影響を与えることを排除できないことを指しているのだろう。また、スペインの哲学者オルテガの言葉を借りるならば、エリートとは自分に満足せず努力する人で、権利より自らに義務を課す人である。他方「大衆」はみんなと同じであることを好み、義務を果たすより権利を主張したがる。その凡俗な大衆は自分が凡俗であることを知りながら、大胆にも凡俗であることの権利をあらゆるところで押し通そうとする。そのような大衆・凡俗に国の将来の判断を委ねるところに国民投票の絶望的な陥穽がある。哲学者オルテガは社会の階層を高貴な人と大衆に大別するが、高貴な人とは貴族を出自とした人とは言わず、己に高貴な義務を課す人noblesse obligeのことであると明快だ。大衆は国家の命運のかかる判断は高貴な人(貴族とは限らない)、すなわち権利は主張するが義務を果たさない国民大衆にその判断を委ねることには注意を要する。しかしそれを悪用するリーダーが、ヒットラーであったり、自分の政権延命や強化に利用しようとしたキャメロンやどこかの国の首相であったりする。ヒットラーは衆愚を利用し、改憲により緊急時には議会に由らず内閣が法律を作ることが出来るように恍けて改憲し、ナチスを生んだ歴史を思い出す必要がある。自民党はこれをまねようとしている(緊急事態条項)。
  しかしイギリスがどちらに向かおうと、国民自身が選んだ道を外国人が色々難癖をつけることは慎むべきだろう、大抵は雇用の損得勘定や経済が落ち込むことの弊害から自分の経済的損得でイギリスのEU離脱、残留を語ることが多いからだ。イギリスのEU離脱派の言い分は、一般的には移民(EU内の貧困国からの流入による雇用が奪われることが主な理由だと思えるが、老人層はビクトリア女王以来の大英帝国への郷愁や過去の栄光の残滓を引きずっていると思われる。今回の離脱決定は皮肉にも、スコットランドの独立志向の再燃に見られるようにますます英国の分裂を促進することになるという現実には思い至らなかったであろう。
  EU内でもイギリスはユーロを採用せず、いまだにポンドを通貨として経済統合に協力的でなかったり、1975年にはECから離脱しようとして国民投票を実施したり、ECに加盟してやっているという傲岸さが目についていた。イギリス病から立ち直ることが出来たのは、イギリスがEUに加盟して市場のアクセスと外国からの投資のおかげでありながら、ギリシャの経済危機をEUが面倒を見る不満をかわそうとキャメロン首相が国民にEU離脱の国民投票を約束した。ヨーロッパの島国イギリスは大局観に欠け、責任を最後まで全うしようとしない。Brexit(イギリスのEU離脱)の勢力を保守党内での勢力拡大に利用し、当然キャメロンの後継を狙うものと思われていた離脱派の前ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、国民投票に敗れて辞任するキャメロン首相の後任に立候補しないという、そしてイギリス独立党党首ナイジェル・ファラージュ欧州議員は党首を辞めるという。
内外のBrexitの評判の悪さ、離脱に投票して後悔している国民が数多いることに対する自分たちの無責任な煽動に後悔と怖れを感じてのことだろう。キャメロン首相も、自分が言い出した国民投票で結果がでたのであるから、最後までイギリスのEU離脱の手続きを自分の手でイギリスの不利を最小限にとどめて道筋をつけるところまでが発議した首相の責任ではないか。イギリスの政治指導者は無責任と言われても仕方ないだろう。

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